プリン

昔ながらの焼きプリン。

フランス語だと”クレーム・ランバルセ(ひっくり返す)”。

あまりにもそっけないデザート・・ではない。

ディナーのオペラ、エッフェルコースの前菜、

”フォアグラのプリン 自家製ブリオッシュ添え”だ。

見た目は素朴なプリン。キャラメルソースが本当に

掛かっている。実は口に含んでしばらくの間もプリン。

口の中に空気が入った瞬間、フォアグラ・プリンになる。

フォアグラの香りだけでなく、ポルト酒やナツメグといった

香りもふわりと吹き抜けていく。

フォアグラは”甘強い”ものとよく合う。

ねっとり甘口ワインのデザートワインやはちみつ、

そして今回はキャラメルソースだ。

奇をてらった料理のように見えるが

クラシックフレンチが脈づいている。

デザートに春の風

焼き菓子系のデザート、

”レモン風味のパウンドケーキ”が終了です。

キラキラ感は少なめだけど

しっとりじんわり落ち着くデザートだったなあ。

その代わりに入るデザートは

”フロマージュ・ブランのムース オレンジのクーリ”

フロマージュ(チーズ)・ブラン(白)という

なんのひねりもないネーミングだけど

結構、聞き覚えのあるチーズの一つ。

これをフワフワのムースに仕上げると

軽くてむっちりとしたデザートになる。

絡みやすい濃度のオレンジソース(クーリ)と

フレッシュのオレンジはそれぞれに違う

おいしさを引き出す。

 

全体的に黄色の色合いだが、これが

フランスの春の色。それはミモザの色。

どんよりした冬の終わりを告げる色だ。

 

オレンジのクーリにはコアントローという

オレンジリキュール(お酒)を加えて

キレと風味を上げているので

アルコールが苦手な方は伝えてください。

 

新しいラインナップが徐々に進んでいるので

お楽しみに。

 

五島にアンコウ⁉

五島から魚が届いた。

季節の変わり目なので

”冬が主役”の魚たちも千秋楽を

迎えようとしている。

”だはぁ~”って顔したコイツは!アンコウ!

今まで主役張っていたヘダイ、イラを押しのけて

”最後の舞台に間に合った~、だはぁ~”と

駆けつけてきた。

確かに旬の終わりで間に合ったはいいが、

初めて見る生のアンコウ。ケッコーなブチャだ。

・・・・。

・・・だんだんエサねだり顔のワンちゃんに見えてきた。

ちょっとブサカワか?

 

五島で取れるんだね。調べてみたら長崎漁港などでも

普通に取り扱っている。ふむふむ、漁獲高日本一は

下関。イメージないけど珍しいものでもないようだ。

しかしこの魚、顔が大きすぎて食べる白身が少ない…。

どうしようかとシェフが考えあぐねた結果、

洋風煮凝りにすることに決定。

アンコウはその白身より頬や皮、肝、

胸鰭の付け根などその他が美味しいらしい。

 

とにかくブランシール(下茹で)して

頭やヒレ、骨から可食部分を取り出す。

ああ、見慣れて可愛く見え始めたところだったのに。

おいしくなれよ~ チーン。

このほぐし身には皮の部分も入っているので

ゼラチンになる。ハーブ類やエシャロットなどを

加えて煮込む。→ 冷やす→完成!

本日のディナーのアミューズ(最初の小さい前菜)。

”アンコウのジュレ仕立て 白バルサミコ”

うむ、お客様に美味しく食べてもらえば

本懐であろう。

今回はたまたまディナーでしたが、

ランチでもお出ししております。

ただこのアンコウ君1匹分ですので

なくなり次第終了となります。

ご了承ください。

 

 

 

 

 

 

魚料理が春っぽい

手袋なしで運転するのは久しぶりだ。

手の甲をなでる風が気持ちいい。

一気に春めいてきたような気がするが、

三寒四温を念頭に、用心に越したことはない。

SACには早速春めいた一皿が登場。

 

”白身魚のポワレ 新玉ねぎと春のスープ仕立て”

下に敷いているスープはフュメ・ド・ポワソンがベース。

魚のアラと香味野菜を煮込んで作る出汁だ。

当店のアラは五島の鮮魚から取っている。

シェフ曰く、澄んだきれいなフュメが取れるとのこと。

そのスープに潜んでいるのは新玉ねぎ。見えないけど。

新玉の優しい甘さと風味良い魚の出汁、

そこへこんがり焼いた魚がパンチ利かせながら

合わさっていく。じんわり楽しむ料理だ。

魚の上には山菜のうるいをあしらっている。

皿の上には春が来ている。

 

 

 

うっかりの系譜

1月半ばから雪が積もったり、

寒波で寒い日が続いたり

インフルエンザが猛威を振るったりと

SACの店内がやや寂しげだ。

そんな雰囲気を和ませる魚が五島から来た。

”うっかりカサゴ”。

ああ確かに、”しまった~!うっかり食べちゃった~!”

って感じが出ている顔だわ~と思ってしまう。

個人的偏見は置いといて、取り敢えず調べてみる。

何がうっかりなのか?なぜ珍名なのか?

するとヘダイに続き、人間の身勝手に翻弄される

哀しい命名の歴史が…。(某番組ヒストリ〇風)

日本の魚類学者、阿部 宗明先生が1979年に命名している。

この”ウッカリカサゴ”、実は近年になってカサゴとは

違う別種として認知された新種なのだ。

しかも長崎産のカサゴを新種と気づいたのは

バルスコフとチェンという海外の方。ソ連の学術誌に

掲載された。日本近海、しかもカサゴという身近な

魚種を日本の魚類学者が見落とした。ーそう、”うっかり”。

普通のカサゴと見分けが付きにくく、体表の文様や

ヒレにある線の数で区別している。

カサゴとうっかり間違うカサゴなので”ウッカリカサゴ”。

でもインタビューでは

”日本の魚類学者が(本種とカサゴとの違いに)気付かず

ウッカリしていたため、ウッカリカサゴと命名した”<wiki>

と答えている。学者としての矜持と戒めが名前になるとは。

というわけで”ウッカリカサゴ”は八兵衛やペネロペみたいに

うっかりしていない。言われもない札を付けられた被害魚だ。

ちなみに魚類学者の阿部宗明先生を調べると

”安倍宗明”さんが出てくる。

平安時代の天文博士で陰陽師・安倍晴明のひ孫だ。

魚類学者・阿部 宗明(あべ ときはる)

天文博士・安倍 宗明(あべのむねあき)

紛らわしい。うっかり間違えそうな名前だ。

”うっかりした学者”に名付けられた魚と

”うっかり他の学者に間違われそうな名前”の学者。

あべこべのような、同類のような…ん?最終的に

うっかりしているのは誰だ?

 

 

 

 

 

ガリシア栗豚とポタージュ・クレーシー

う~む、何だかパッと見

”ゲキレン戦隊とポタージュ・クレージー”のような

タイトルに見えてしまうが違います。

今回新登場の肉料理とスープの紹介。

”ガリシア栗豚のポワレ 甘い玉ねぎとリンゴ酢のソース”

ガリシア栗豚はスペイン・ガリシア州で栗を食べて育つ豚。

イベリコ豚の2番煎じかと思いきや歴史は古い。

ガリシア州はスペイン北西の海に突き出した角っこの地域で

栗の一大名産地。栗を食べた豚とそうでない豚は霜降りの

入り方が40%くらい差がでてくるという。美味しい豚として

名声はあったものの、手間とコストが掛かってしまい

地元消費に終始していた。

そこへ大手肉屋が研究機関まで作って生産・飼育に取組んだ末、

やっと世に出る事となった次第。油脂の部分はさらっとしていて

軽やか。赤身の色合いは濃く、見た目通り力強い味をしているが

柔らかい。シェフはこの肉質にリンゴ酢のソースを

合わせている。この組み合わせだけでも美味しいのだが、

写真奥のボンヤリしてる粗みじんの玉ねぎがいい役回りをする。

一緒に食べると、肉とソース両方の味をベースアップして

さらに馴染みよくする。目立たないけどいいヤツ。

 

そして”ポタージュ・クレーシー”。(?)

改め、”人参のクリームスープ”。パリ郊外の

クレーシーという名産地の地名にあやかって

別名がポタージュ・クレーシー。

浮実にはリンゴとシナモンを入れてアクセントに。

青っぽい香りやちょっとだけある苦味も

不思議と感じない。イタリアンパセリのピュレの

お陰なのかな。根菜のおいしさや栄養は残して

ふわっと軽やかに仕上がっている。

こちらも心行くまでお楽しみください。

 

 

 

 

サッシが良くなりました。

先日の正月振替休暇を利用して

SACのリニューアル工事・後編を手掛けた。

窓工事だ。窓以外は覆いをかけて完全工事モード。

しかも期間が短いので夜間工事もある。

窓の下壁は板目で隙間から冷気がきていたが、

今回ぴっちり1枚板で貼りなおしたので漏れはない。

なんということでしょう。(某番組風)

窓の隙間から入ってきていた排気ガスで

黒ずんでいた窓枠やカーテンが光り輝いてます。

店内の壁と同じくアイボリーに統一した壁は

断熱材を挟んで強化しました。

それともう一つ、タクヤは大きな問題に

取り組んでいました。

看板です。以前の木製看板が古く朽ちていて

強風や地震の際、落下の危険性が高い状態でした。

材質を変え、やや大きくして安全と広告の両立です。

リニューアル工事後編が終了しました。

新しくなった店内の雰囲気はやはり伝えづらいですね。

”工事の仕上がりはぜひご自身の目でご確認ください”なんて

口上を述べるんじゃないの?と薄っすら気づいた貴方!

さすが察しがよろしいようで。

ご来店、お待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

野菜がっ!

タイトルの続きのセリフは

想像に難くない。ましてや台所を

預かる方には実感が伴う。

白菜、春菊、キャベツにレタス

葉物が高いのはまだ理解できる。

根菜は違うでしょと思ってしまう。

葉物でも冬の葉物は違うでしょ。

しかし、昨年の10月の天候不順や

季節外れの台風は容赦なく農家さんを

苦しめている。野菜が育ってないのだ。

こんな時はしょうがないね。

しかしレストランはそうはいかない。

”大根のクリームスープ バジルと松の実風味”

根菜の持つ滋味とほんのり甘い味わい。

控えめなバジルとナッツ風味が意外なおいしさを

引き出している。冬の味わいだ。

 

年が明けていささか食傷気味な方や

ゆっくりじっくり過ごしたい方に丁度いい

スープです。

寒さは増してますが、温かい部屋と

美味しい料理を準備してお待ちしております。

 

 

 

 

 

動き出した2018年

挨拶が遅れました。

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

 

昨日今日が仕事始めの方が多いらしく、

青梅街道や吉祥寺通りにいつもの喧騒が

戻ってきている。お正月気分も早々に

吹き飛んでいるようだ。

あれだけごった返した吉祥寺の街が

閑散として、少し寂しい感じと

落ち着きを取り戻しつつある安堵感が

入り混じっている。

 

昨年の5月から始まったSACの激動は

2018年を迎えてやっと落ち着いてきた

高橋シェフも11月オープンから

12月クリスマスコース、お節と

イベントを切り回し、昨日のお休みで

ほっとしたところだ。

今日はネタというネタはないが

年賀状の犬がどうしても見つけられない

方と答え合わせです。

”ピカソの犬”はネットで調べても出て

きますがSACの店内にもあります。

 

この一筆書き犬です。

右下真ん中よりの道を散歩してます。

これで9匹揃ったでしょうか。

本当は10匹なのですが

トンチを使うネタなので省きました。

もし10匹目をゲットできた方おりましたら

来店の際に教えてください。

何か出るかもしれません。

 

いよいよ始まった2018年。

戌年なだけにワンダフルな・・いや

このフレーズはもうお腹一杯だな。

今年は慌てず、焦らず、踏みしめて

ポチポチ頑張っていきましょう!

(苦しい・・)

皆様のご来店、心よりお待ちして

おります。

 

 

 

 

クリスマスコース始まりました!

12月に入り、寒さも増してきたなと

思う暇なくクリスマスだ。

シェフもコースを考えたはいいが、

食材がきちんと揃うか気を揉んでいる。

鳥インフルエンザの影響が長引き、

輸入解禁になったにもかかわらず

小鴨は生産が間に合わないため

今回のメインの鴨はハンガリー産に

止む無く変更となりました。

味見した感想は手ごたえいいです。

血をしっかり含んだ旨みのある鴨が

好きな方には物足りないかもしれませんが、

元々小鴨のようにクセがなく、

柔らかさと程よいうま味を求めていたので

好都合。

下ごしらえもだんだん佳境に入ってきた頃

オマール見参!

見よ!この雄姿!

斜に構えて両腕を広げるポーズ・・はっ、もしや

これは伝説の最終奥義・”ウルトラ・グレートサンっ

バキッ。ああ、技の名前を言っている途中で

敢えなく終了。この時期のシェフは鬼気迫って

強いのだ。美味しく食べてもらうから

成仏しろよ。

ちなみに私も殻むきをお手伝い。

猫の手も借りたいほど仕込みはてんこ盛りなのだ。

 

そして本日コースのお披露目です。

メニューはこんな感じ。

まずはアミューズ。”小さな白子のフラン”

プリンのような白子の蒸し料理。グリーンのソースは

アサツキ。お客様からは”丼でお願いします”との声も

上がるほどのおいしさ。

さてお次は前菜、

”オマール、帆立などの海の幸 コンソメジュレ寄せ”。

内容を説明しますと、

オマール、帆立、スモークサーモン、白ツブ貝

イクラ、キャビア。写真で分かるようにこんもりと

盛っている。魚卵は見えているとして、オマールや

帆立などの4種だけでこの盛り。

ごろっとした感じが贅沢だわ~。

経営者的にはお腹がごろっとしそうだわ~って

冗談はさて置き、この料理、美味しい仕掛けを隠してます。

主材の下に人参のピュレを敷き、コンソメの

ジュレにビーツ(赤いサトウダイコン)の出汁を

効かせてます。冬に嬉しい根菜の滋味ある甘さが

層をなして海の幸を包むという仕掛けだ。

こんなところに季節感を出すとは渋い。

次の前菜の”フォアグラと聖護院大根”はランチでは

出ないので割愛。

さて魚料理ですな。

今回の五島灘・鮮魚は天然の真鯛!

三枚におろした身・皮目の色や艶は

見るだけでも美味しい。

”五島灘・天然真鯛のポワレ 根セロリのピュレ

木ノ子クリームソース カプチーノスタイル”

あぁ~撮影テクの無さが露呈している。

やはり慣れた言葉で説明ですな。

サクッと焼き上げた薄皮の下にふっくらした白身。

その下に根セロリのピュレが見た目、味的にも

縁の下の力持ち役を買って出ている。

そしてもう一人の主役・木ノ子クリームソース。

皮目の香ばしさに重なってゆっくりと

味を合わせていく。付け合わせの青菜や

カダイフ(トルコ周辺の細麺)の香りと

食感の組合せも加わって調和のとれた

一皿に仕上がっている。

お肉の出番だ。

”ハンガリー産鴨の蜂蜜エピスロースト

グレープフルーツ風味の赤ワインソース”。

皮目を香ばしく焼いて蜂蜜とスパイス数種で

風味付けしている。実はこれだけでも十分美味しい。

身質が柔らかくてクセが控えめなので

ほのかな香りと塩味だけでじっくり堪能できる。

グレープフルーツ風味の赤ワインソースは

甘酸っぱい仕上げ。メリハリの効いた味わいを

醸し出す。この鴨料理は2度おいしい仕組みなのだ。

切り方もスライスではないので自分でカットして

楽しみ方を選んでくださいね。

トリはデザート。

”しっとり焼き上げたガトー・ムースショコラ

カシスのソルベ 赤い果実”。

ガトーショコラと赤い果実は定番中の定番。

でもこのムースショコラのふわっと口の中で無くなる

食感と広がる香りは写真じゃ~伝わらないね。

あいやしまった~、このデザートは

”あら、月並みね”と思わせて気持ちよく裏切る

瞬間が隠しダネだったのに~。(棒読み)

 

今回のクリスマスコースも美味しく仕上がりました。

合わせのワインもご用意しておりますので

最後までお楽しみください。

長文を最後まで読んでいただき、

ありがとうございました。

では

今年良いことした人

ちょっと失敗した人

なまけちゃった人

頑張った人

悲しいことがあった人

そんな誰かをそばで

見守ってくれた人。

サンタを信じてる子どもにも

サンタのようになった人にも

等しく雪が降るように

Joyeux Noël  (ジョワイユ ノエル)