月別アーカイブ: 2018年2月

うっかりの系譜

1月半ばから雪が積もったり、

寒波で寒い日が続いたり

インフルエンザが猛威を振るったりと

SACの店内がやや寂しげだ。

そんな雰囲気を和ませる魚が五島から来た。

”うっかりカサゴ”。

ああ確かに、”しまった~!うっかり食べちゃった~!”

って感じが出ている顔だわ~と思ってしまう。

個人的偏見は置いといて、取り敢えず調べてみる。

何がうっかりなのか?なぜ珍名なのか?

するとヘダイに続き、人間の身勝手に翻弄される

哀しい命名の歴史が…。(某番組ヒストリ〇風)

日本の魚類学者、阿部 宗明先生が1979年に命名している。

この”ウッカリカサゴ”、実は近年になってカサゴとは

違う別種として認知された新種なのだ。

しかも長崎産のカサゴを新種と気づいたのは

バルスコフとチェンという海外の方。ソ連の学術誌に

掲載された。日本近海、しかもカサゴという身近な

魚種を日本の魚類学者が見落とした。ーそう、”うっかり”。

普通のカサゴと見分けが付きにくく、体表の文様や

ヒレにある線の数で区別している。

カサゴとうっかり間違うカサゴなので”ウッカリカサゴ”。

でもインタビューでは

”日本の魚類学者が(本種とカサゴとの違いに)気付かず

ウッカリしていたため、ウッカリカサゴと命名した”<wiki>

と答えている。学者としての矜持と戒めが名前になるとは。

というわけで”ウッカリカサゴ”は八兵衛やペネロペみたいに

うっかりしていない。言われもない札を付けられた被害魚だ。

ちなみに魚類学者の阿部宗明先生を調べると

”安倍宗明”さんが出てくる。

平安時代の天文博士で陰陽師・安倍晴明のひ孫だ。

魚類学者・阿部 宗明(あべ ときはる)

天文博士・安倍 宗明(あべのむねあき)

紛らわしい。うっかり間違えそうな名前だ。

”うっかりした学者”に名付けられた魚と

”うっかり他の学者に間違われそうな名前”の学者。

あべこべのような、同類のような…ん?最終的に

うっかりしているのは誰だ?

 

 

 

 

 

ガリシア栗豚とポタージュ・クレーシー

う~む、何だかパッと見

”ゲキレン戦隊とポタージュ・クレージー”のような

タイトルに見えてしまうが違います。

今回新登場の肉料理とスープの紹介。

”ガリシア栗豚のポワレ 甘い玉ねぎとリンゴ酢のソース”

ガリシア栗豚はスペイン・ガリシア州で栗を食べて育つ豚。

イベリコ豚の2番煎じかと思いきや歴史は古い。

ガリシア州はスペイン北西の海に突き出した角っこの地域で

栗の一大名産地。栗を食べた豚とそうでない豚は霜降りの

入り方が40%くらい差がでてくるという。美味しい豚として

名声はあったものの、手間とコストが掛かってしまい

地元消費に終始していた。

そこへ大手肉屋が研究機関まで作って生産・飼育に取組んだ末、

やっと世に出る事となった次第。油脂の部分はさらっとしていて

軽やか。赤身の色合いは濃く、見た目通り力強い味をしているが

柔らかい。シェフはこの肉質にリンゴ酢のソースを

合わせている。この組み合わせだけでも美味しいのだが、

写真奥のボンヤリしてる粗みじんの玉ねぎがいい役回りをする。

一緒に食べると、肉とソース両方の味をベースアップして

さらに馴染みよくする。目立たないけどいいヤツ。

 

そして”ポタージュ・クレーシー”。(?)

改め、”人参のクリームスープ”。パリ郊外の

クレーシーという名産地の地名にあやかって

別名がポタージュ・クレーシー。

浮実にはリンゴとシナモンを入れてアクセントに。

青っぽい香りやちょっとだけある苦味も

不思議と感じない。イタリアンパセリのピュレの

お陰なのかな。根菜のおいしさや栄養は残して

ふわっと軽やかに仕上がっている。

こちらも心行くまでお楽しみください。