▶振り出しに戻る


前回お話しした新しいシェフが

昨日からキッチンに入りました。

ランチ、ディナーとこなしましたが、

自分のやりたい方向とは

違うとのこと。

言葉での確認はしたけれど、

やはりやってみて、自分の料理の方向性と違う。

技術的にできないわけではないが

モチベーション的に続かないとのこと。

こればかりは仕方がない。

 

というわけで▶振り出しに戻る。

 

お知らせしたお客様が今日何組も

来店いただいたので事情を話した。

”慌てずゆっくりやればいいのよ”。

 

私の信条はコケたらすぐ立つ。

そこで泣くヒマがあるなら

すぐ立ち上がって走る。

 

でもこのお客様の声を聞いて

自分が焦って結果を出そうとしてる

姿が見える気がした。

 

そんな時、五島の海で素潜りしてた時の

ことを思い出した。

父・兄と3人で行くのだが、船を碇で固定して

3人それぞれでばらけて潜る。

中学生の自分は海岸沿いに進んでいた。

獲物を求めるあまり、突き出た瀬を回ったところで

外潮に巻き込まれた。

気づいた時にはクロール全力でも

後ろに下がる潮の中。

さらに慌てて泳ぎだしたため、

足がつった。

 

取り敢えず、海面に出てつった足をほぐす。

周りを見ると船は遠すぎて声が届きそうにない。

でも海面でクラゲののように流されるがままに

ゆらゆらしているとあまりにも周りの景色に

緊張感がない。

青々とした海に濃い緑の山、広くて澄んだ青空。

焦っている自分がバカバカしい。

 

まず体を確認。そして遠くの山と近くの岩瀬を見る。

大体の流れる速度がわかる。

そして次第にそのスピードが落ちている。

船に戻る必要はない。

まず岸に上がることだ。

速度を換算しながら斜めに進む先を据える。

うむ、あそこだな。

 

岸に上がり、日差しで熱くなった岩に

お腹をあてて一休み。

船が動き出したのを見て手を振る。

 

”サザエはおったか?”。

急に日常だ。さっきまでインディジョーンズ張りの

危機一髪のドラマティックアクションしてたのにぃ~!

 

”うん、あんまりおらんかったよ”

あ~、なんて普通に強がる中学男子。

 

考えている以上に日常は大切で

思っている以上に日常は大変で。

 

シェフがすぐ決まっても

7月1日から6日までは休みます。

リニューアルです。

すぐに決まらなかった時は

もうちょっと後です。

7月の海の日から4日間五島に帰るので

もしかしたら1か月のヴァカンスに

なるかもしれません。

 

”貴方は僕の太陽だ!”なんて言葉を

実際に使った人はいるのだろうか。

お客様の姿や言葉が、今焦っているであろう

自分にとって、あのバカバカしさを教えてくれた

山にも空にも太陽にも見える。

感じてた以上に日常は感動的だ。

 

6月30日まではきっちり営業しておりますので

宮村シェフの料理、しっかり楽しんでくださいね。

食後のデザートはスフレなので

時間がかかります。

少々お待ちください。